さいきん見た展示メモ〜鈴木理策/Max Huber ほか

鈴木理策「WHITE」
私が生まれ育った県は世間のイメージ的には雪国なのだけど、我が街はあまり雪が降らなかった。降ったとしてもアーケード商店街で暮らしていたので、その実感が薄かった気がする。スキーも課外授業で数回行ったきりだ。
中学の時に住処を市の郊外へと越した。回りは田んぼばかり。雪の降った朝、カーテンを開けて驚いた。一面真っ白だったからだ。普段は自転車通学の学校へ歩いて向かった。どこまでも白い平野は静まり返り、ただひとり私がいた。私もこのまま白くなってしまうんじゃないか?掌のちいさな結晶がしゅっと溶けた。
そういう感覚を目に見えるかたちで定着させたような写真だった。ただ以前見た桜の写真の方が埋もれる感があってよかったかな。


■Max Huber − a graphic designer
gggにて。とにかくカッコイイ!カラフルでリズミカルなグラフィックの数々にしびれまくり心のなかでダンスした。
バウハウス以降のカッチリさなのに生き生きと動いていて、ジャズが大好きだったという話に頷いた。今まで書籍でしか見たことなかったから、大判サイズでドーンと見ることが出来て幸せ。色の出方もやっぱりキレイ。


堀江敏幸写真展
クラシカルなビルの狭い階段をあがり三階のドアを開けるとふわっといい香りがして誘われる。エッセイに使用しているモノクロ写真が並ぶ。市場での織物の山とかハンガーとか窓枠とか、文章そのままの雰囲気。会場の古本屋と相まって、ここはパリかしら?と錯覚してしまうのでした。


■ラルフ・ペーターズ展
堀江敏幸展を見てからそういえば近くだったと思い出しBASEGALLERYに立ち寄る。日本初個展の写真家。郊外の深夜の、誰もいないガソリンスタンドは真っ暗闇のなかコウコウと黄色や赤の光が浮かぶ、強く際立つ光が印象的。人の気配を感じなくてまるで模型みたい。


■内海満昌展
粗い茶褐色の塗り壁にぽつんぽつんと、真っ白で削ぎ落とされた絵が浮かぶ。ひっそりと静まり返る。こころに白い染みが付いた。


■福田紀子展
オイルパステルでぐりぐりと塗り込まれた画面は味わい深くって見てて飽きない。モチーフは猫や吊るされた洗濯物や野菜とか。日常の見慣れたものだけど福田さんの色と形で記されると愛すべきものに変わる。色鉛筆でスススっと描かれた風景画の余白もきもちよいなあ。