月刊MdN「渋谷系ビジュアル・レトロスペクティヴ」

いまさらな話ですが、書き留めておきたいのでメモ的に。
これまでいくつもの「渋谷系」本が出たけれど、デザイナー向け専門誌である月刊MdNによる特集が今のところ最も、「渋谷系」とはなんぞや?って部分を語ってくれたのではないだろうか。

90年代初頭から中頃にかけて起った音楽ムーブメント「渋谷系」。「渋谷系」は音楽のみならず、CDパッケージをはじめとするグラフィックデザインや映像の世界にも変革を起こしました。
本特集では、その起点の一つと考えられる、フリッパーズ・ギターの傑作アルバム『CAMERA TALK』の発売25周年というタイミングで、豊富な資料と貴重なテキストによって「渋谷系」のビジュアル面を振り返っていきます。
http://www.mdn.co.jp/di/MdN/?asid=3351

ミュージシャンやその関係者ではやっぱり自分の目と耳に入る範囲しか感知できないよなあとモヤモヤ感があったけれど、ジャケなどのデザインワークはあの時代をトータル的に捉えているわけで、空気と匂いがそこに封じ込められる。だから、至極納得の内容だった。
そもそも「渋谷系とはなんぞや」って、ロックを精神論で語りがちな日本の旧来の音楽界のなかで「感覚」と「知性」で魅せてくれたことが、エポックメイキングだったと思うのだ。

信藤三雄さんのインタビューを読むと小山田くんのセンスが大きかったんだなあって再認識するし、あのときこうやって新しいものが生まれていったんだなあってワクワクした。
そしてコーネリアスのアートワークを出掛ける北山雅和さんの「小山田くんとゲラゲラ笑いながら作業して」ってくだりに、フリッパーズのときは小沢くんとこういうふうに過ごしては曲を作ったりしてたんだろうなあって思えて、ちょっと泣きそうになった。
というようにこの誌面では「小山田圭吾」が終始語られるわけですが、現在開催中の「岡崎京子展」では「小沢健二」が大きく登場していて、二人の役割分担が透けて見えたのが印象的でした。