「BIG-O 60 〜大還暦祭〜」

音楽評論家である小野島大さんの”還暦祝”ライブ、下北沢QUEにて。
こんなライブが開催されるなんて!’91年、MM誌上で小野島さんが激賞したヤマジカズヒデ ソロ・アルバムを「dip the flagの人?こんなに推すなんて」と聴いたところ深く強く衝撃を受けて今に至るわけだし、その後小野島さんが発刊した雑誌「PALADE」のラフなとこは大好きだし(百円番長!)、DJ聴きに王子まで通った時期もあった。話ベタなヤマジさんに小山田くんにフジマキさんへ切り込んでくれる小野島さんは私にとってありがたい方であるし、それぞれ音楽の方向性は違っても芯が一緒なんだと思わせてくれ、自己承認出来たのだ。今回の企画のキッカケは、3月のヤマジ50歳祭りのときだったと知り、嬉しい。


武藤昭平withウエノコウジ
唄って弾けて、何より喋れるこのお二人の息の良さ、音と声の良さ。初っ端として場をドカンドカンと温めてくれる凄腕でした。


勝井祐二、TOKIE、ホッピー神山、シュガー吉永、須藤俊明 インプロ
このメンツよ・・・!勝井さんのしなやかなヴァイオリンが鳴り響き、ホッピーさんがつくりだす音の自由度が楽しい。須藤さんのドラムはパッキパキで好みな叩きっぷり、目がシャーッとしてる顔つきがウミネコの朗らかさとは真逆なのが印象的だった。TOKIEさんのベースは流麗でカッコよくって、シュガーさんのギターは奇妙でカッコよくって、ふたりの姉御っぷりが同性としてすごく嬉しかったなあ。この瞬間だけの二度とない音を聴けて大満足。


ヤマジカズヒデ百々和宏藤田勇、須藤俊明、大野由美子日暮愛葉木下理樹、小林祐介
更に挙動発言不審な木下くんや、愛葉さんの挨拶な一言に、ザクッとツッコんで笑いを取るヤマジさんのトーク術に脱帽*1……。ギターであれほどキレッキレなのに、喋りでもあんなにキレッキレだなんて。恐ろしい・・・(震) 後輩がほとんどの中リラックスして余裕ありながら、ぐいっとアクセル踏むステージングがカッコよかった。余談ですが木下くんが唄ったダイナソーのWAGON、聴いてると「つーめたいくらーいにかわいたら〜〜〜」と唄いたくなりませんか・・・(あ!)


・RECK、ヤマジカズヒデ、吉村由加
フリクションについてアツく語れないだけに、転換時から場内に満ちる「RECK……!」という熱にドキドキ。遂に登場したRECKさんは存在感からして凄かった。そしてヤマジさんの顔つきはさっきと全く異なり、スイッチが入ってピリッとしていた。かつてない表情で全身全霊で集中していることが見て取れた。でもそれは緊張感とは違い、この場を楽しんでいることが伝わってくる。由加さんに対してもそう思った。だからこちらも圧倒されながら楽しくて仕方がなかった。序盤はRECKさんの反応を探り合っている印象を受けたけれど、中盤でdipの「Fly By Wire」をやったからホントにホントに腰を抜かしそうなほどビックリ!更に最近ライブでよくやるドアーズの「Break On Through」まで!これにより力が抜けたのかパチっとスイッチが切り替わって、最後の「ZONE TRIPPER」は凄まじくカッコよく突き抜けて、体に切り刻まれる痛みが心地よかった。RECKさん、今後もヤマジさんとやってほしい!


場内騒然発熱状態になり客電が付いた。「あれ?小野島さんは…」と声が聞こえてハッとした。そうですよ、今日の主役は一度も顔を出していないのですよ。結局そのまま終演で、表舞台に出てこないのは確かにそりゃそうかという気もする。こんなライブを開くことが出来たのも、長年培ってきたミュージシャンと信頼関係なのでしょう。リスナーとして感謝します。そして、おめでとうございました。

*1:ウミネコでコテさんにツッコみ笑う姿に驚いたけど、dipではヤマジさんが喋ったとしても静かなんだよね。。。