6月の終わり、7月の初め



6月5日(月) 週末の台風の影響に当然の如く対処できず、我らの仕事が増えるなり。



6月6日(火) 「違国日記」映画化。えええー!と否定的な感情を持ったけど、瀬田なつき監督作ということで違った意味で動揺……。瀬田監督にはオリジナル作のほうが合うと思うんだよな……そしてまきおちゃんが、、うむ、、。



6月7日(水) Cornelius「無常の世界」そりゃそう思いたくもなる、直球すぎるタイトル。朝起きて1番にY氏がかけてくれて、直立不動で聴く。徐々に今日の私として活動を始める体内に染みていく。寂寥感と諦念を抱えながらゆっくりと歩いていく。ミュージシャンが歳を重ねても若い頃と変わらない曲の人もいるし、レイドバックする人もいるし、新しいことを試み続ける人もいる。それは自然だったり痛々しかったりもする。自分の体の機能や好みや家族などの変化があるのは当然で、それを反映するのかどうか。そして聴く側の私がどうあるのか。年齢と自分のパーソナリティに合わせた服装の着こなしともいえる。世の中は無常だけど、世捨て人になることなく、これまでと同じように暮らし、音楽をつくり、ライブをする。昔も今も、誠実だからこその行動だなあ。



6月8日 AIR MIAMI「ME. ME. ME. 」がリイシュー!わああああああ。と騒いでいたらY氏が「持ってる盤買ってもしょうがないじゃん、未来を聴け」というので「じゃあ、black editionでもうレコ再発買わないでよね(怒)」を言ってやったよね。



6月9日(金) 夜ご飯は馴染みの店で。店主さんのお心遣いで紹介いただいた方と建築のお話しを。緊張したけどとても嬉しい。
/ らんまん、今日は石版印刷について丁寧に解説することで、「世が変わり旧来のものが消えゆくとしても、優れたものは新たな地で必ず根付き芽吹くことができる」という植物学由来の考えと結びつき、それはまさに世の理であるところが素晴らしかった。先人への敬意と未来への希望に満ちていた。/ アイデアCorneliusの特集に釣られ、主特集が独立系出版社だしね、と20年以上ぶりに買う。大きな本屋の雑誌売り場になくて、デザインコーナーの隅っこで漸く見つけた。フォントがめちゃくちゃ小さくて動揺。視力1.2の私でも夜読むのはツライが頑張った。そしたら!「変わる消える」からのジャケット写真の決め方に驚いた。「面白い人はかならずいるし、そういう人を探し出せるのはSNS時代ならでは」(アイデア No.402 2023年 7月号[雑誌] 152Pより引用)、あんなことがあったのにそんなこと言えるのって、小山田パイセン凄すぎる。



6月10日(土) 朝目にした「1日出張喫茶」店の名前に引っ掛かり、行ってみると10年以上前よく行っていたパン屋の店主さんがそこにいた。移住し、店名を変え、なんとうどん屋になったそう。でも今回はカンパーニュサンドで戻ってきてくれた。とても美味しかった。会計時に「私以前のお店によく伺ってまして」と告げると「ですよね!いらっしゃってましたよね!!わざわざ来てくださったんですか!場所や店を変えてもずっと続けてきてよかったです」と喜んでくれて、私の方こそ嬉しかった。/ 昨日いただいたチケットで「ルオー展」分厚いテクスチャーに祈りが込められていた。



6月11日(日) 朝は雨、自分でもびっくりするほど行動を決められず。そういえば髪伸びたなあと美容院の予約サイトを見ると、近い土日は全滅で、結局1か月ほど先になってしまう。美容院の予約、ホント苦手・・・/ ライブ、20時開演と知るともう行く気がなくなってしまうな……。こうやって徐々に体に合わせた行動を取るようになるんだな。。。/ 昼頃に雨は止み、近所の店で昼ごはん食べて、気になる諸々を済ませて帰宅。先に帰宅したY氏に「窓開いてたよ」と言われて驚愕。



6月12日(月)「道玄坂二丁目地区」再開発の話題が続いている。とりわけ、ヤフーニュースの情報が多く出回っており、「百軒店のあの店を無くすな!」と鼻息荒いネットの声を多数見かけている。お上が決めることなんて信じられないのも当然だけど、百軒店を取り壊すとは今のところ発表されておらず、むしろ守るような回遊性を誘導したいとも言われている。都の方針を読むと、109の建替を文化村と合わせてなんとかしたい東急の思惑を感じる。流行りのウォーカブルを散りばめて、現ドンキ前の路地とユーロ前の路地を拡幅し、宮益坂から続く「大山通り」である道玄坂の整備をしたうえで文化村と繋げた街並みをつくりたい様子。ユーロの前はずっと駐車場のままだし,拡幅するとしたらこちら側ではないか。並びのo-eastも含めれば、歌舞伎町に出来た東急の再開発ビルを前例として対応できるだろう。素人考えだけど。それよりも気になるのは,百軒店が持つ堤康次郎が手掛けた歴史を今の東急側がどう捉えているかということ。
街区再編まちづくり制度 | 東京都都市整備局
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/seisaku/fop_town/pdf/syare04_housin_13.pdf

最近の事例から過剰反応になるのはわかるけど、結局のところネットニュースの煽りを鵜呑みにして、それだけの情報でやいのやいのしてるネット上が毎度毎度本当に嫌だ。生じた熱を冷静に保ち続け続報を確認すること、無くしてほしくないその店に通い続け、街の変化に目と耳を澄ますこと。大切なことを私は忘れたくない。



6月13日(火) ビラ・ビアンカ、現在定期借家で募集の部屋ありを知る。建て替えの話あるのは当然だろうけど、、、数年前に見学会に参加して施行の美しさと丁寧な維持管理を目の当たりにしただけに、造り手の意志と暮らした人々の意識が継承されていくと良いな、と外野は思う。
mikk.hatenadiary.jp



6月14日(水) 弊社顧客用の配布書類文章に日付の誤植発覚、なぜ誰も気が付かない・・・/ 我ら世代が70.80になった頃の高齢者対策はどうなっているのだろうか。現時点で施設無く、使う予算も働く人手も更に減少するなか、対象者はドンと増加する。氷河期が更にどん詰まりになる光景しか見えない。



6月15日(木) ヴィム・ヴェンダース「パーフェクト・デイズ」。製作の柳井康治さんのインタビュー。公共トイレ整備事業「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの発起人であり資金提供者の柳井さんがこの事業をアピールするため「アート」を取り入れたいがキッカケでここに至るとはゴニョゴニョ言いたくなるけど、出演者 田中泯さんは「この映画をアートだとは思わない。アートという言葉に特に日本では反応してしまう物質がまん延している」と発言してるのサスガ。柳井さんはまだまだ潤沢に資金あるはずなので、ノブレスオブリージュをセンスよく発揮して欲しい。



6月16日(金) 仕事で疲れたから甘いもの食べたいけどまずはご飯で栄養をちゃんと取らねばと、いつもの店。金曜の夜に外で過ごす人増えたなあと痛感。



6月17日(土) 久しぶりにN町まで出向き、好きな喫茶店に行くと満席でスゴスゴ退散。暑いから歩き回ってまた来るのもなあとバスで移動。気になっていたカフェに入ったもののしっくり来なくてざんねん。街は人も多いし疲れてしまい、いつもならば好きな店回るのにもういいやと帰路に着く。歳を取ったことで生じた変化はコロナ禍の世の中のおかげで紛れたのかもしれない。数年前よりも世間が賑やかに感じてしまい、今はもうつらさしかない。



6月18日(日) 去年オープンのレコ屋へ。店主は30歳過ぎで「ミッシェルからオールドロックへ行き、その後シューゲイザーからテクノにハマり今はアンビエントがメイン」という経緯が興味深かったけど、「客で来る今の若い子は配信のプレイリストから知るので、ミュージシャン自身をあまり知らない」「Shazamを立ち上げたまま1日過ごして、拾った音源を今日のプレイリストとして残す」という発言が今日のハイライト。



6月19日(月) 今日の「らんまん」は泣いてしまった。名言のオンパレード。泣いてしまった。これをアップすることは日にちが過ぎてるからセリフをここに残す。

万太郎「花が日差しを待つように水を欲しがるようにワシという命には貴方が必要なんです」

丈之助 「それって万ちゃんの都合だよね、自分の都合のためについてきてって言ってるよ」

この丈之助の発言!今までそんな視点のセリフ、テレビドラマで見たことある?震えた。

そしたら。

寿恵子「そうですね、それって牧野さんのご都合ですよね。だから私も自分で決めます」「私冒険に出たかったんです、自分の力を思いっきり試せたらいいなって思ってました。でもこの部屋を見るまではわかっていなかったです。あなたと生きるのは途轍もなく大変ということ、あなたは草花の道をひたすら突き進んでいく、そんなあなたと並んで走るなんて大冒険です。あなたと毎日今日を生きるだけでひたすら大冒険なんです」「私あなたが好きなんです、だから私、性根を据えなきゃ。あなたと一緒に大冒険を始めるんだから。」「そのかわり約束して。図鑑を必ず完成させてください。馬琴先生の八犬伝は全98巻106冊です。先生は目が見えなくなっても最後は口伝えで完結させたんです、だからこそ八犬伝は傑作なんです」

登場人物の好きなものが、アイテムではなく行動原理と思想になっているところがすごい。だから説得力があり、寿恵子の生き方に繋がっていることがとてもよくわかる。

更に

丈之助「馬琴なんて古臭いよ。子供の頃読んだ面白さは忘れられない。でもそれじゃ日本人はいつまで経っても世界に通用しないんだよ。愛着があるからこそそれを引き剥がして捨て去らなきゃ」「見てろこれから新しい作家がどんどん出てくる、馬琴を葬り去るために」

ここで脇役の丈之助の生き方もきちんと描かれる。

寿恵子「それでも消えません。例え作者が亡くなったとしても完結した物語は消えないんです。本を閉じても輝いているし心から心に渡されていくんです。100年経っても消えやしない、完結した物語は生き続ける。完結してなきゃダメなんです。完結して全部がそこにあるからこそ人は読みたいと思うんです」「だから牧野さん、日本中の草花が全て載っている図鑑、見てみたい。そばに置きたい。気になった草花の名前を私も知りたい その図鑑は100年経っても色褪せない 必ずやり遂げてください。」

こうまで言われたら、やり遂げるよねえ。



6月20日 今日は諸々ダメな1日だった。



6月21日 夏至。朝出勤時の空気はカラッとしていて気持ちよかった。



6月22日 気がつくと眠かったけどなんとか持ち堪えた。帰宅してまず一呼吸できる、飲み物なにかないかしら。お酒でも冷たくも甘くもない飲み物。



6月23日 怪我をされたそうで暫くお休みしてた店へ。小さな黄色の花をお渡ししたらとても喜んでくださってよかった。とても疲れた日、ここに来て救われたことばかりで、だからこそありがとうの気持ちを伝えたかったのだ。



6月24日 カフェのBGMが90年代UKロックバンドプレイリストのようで、かかる曲すべてが泣きそう……ああ。今聴くとベタだなあと思うけど、あの頃の日々が蘇る、ワスの懐メロ。何十年か後、ワスらの老人ホームでは「マイウェイ」じゃなくて「ワンダーウォール」を高らかに合唱だろうか。というよりも入れる老人施設あるのか……震。
/古谷津純一 写真展 「 残像 」ー木々の中の散歩道ー 散歩中に35mmカメラで撮影した景色を大判カメラであらためて撮影するというプロセスも含めて、時間と感情が重なったレイヤーから光が宿り、素晴らしかった。
TOSEI-SHA 古谷津純一 写真展「 残像 」ー木々の中の散歩道ー
この間の休日はタイミング悪かったりガッカリばかりだったけど、今日は最初はちょっとなあだったものの歩き始めたらその間の点が素敵なことばかりで、良い1日になった。



6月25日 若い芸術家のオープンアトリエに行く。彼らのまっすぐな瑞々しさがとても素敵だった。



6月26日  日本の建築家の対談や論評を読んでいると、建築家の意志や60〜80年代当時の時代背景含めた試行錯誤が伺えるのに、もはやその建物は現存しないことに愕然とする。官民クライアントの費用面や問題提起がされていても、今まったく生かされていないのだ。建築家が「自分の」作品といえるのはどこまでなんだろう。個人事務所でなければ弟子の仕事に拠る部分をまとめあげ、さらにその図面を現物にさせるのはたくさんの職人で、完成した途端にクライアントのものとなり、他人の意志で壊されてしまうって、すごい職業だな。



6月27日 夕飯の用意もできており、帰宅途中に買って、速攻で食べて片付けて、ゆったり聴く体制をイメトレして出社。難なく帰宅でき、サクッと食べて洗って、らんまん見て、いざ。(「夢中夢」を聴く)



6月28日 会社リアル研修が再開されて、久しぶりに他部署へ移動した元同僚たちとお喋り出来て楽しかった。



6月29日 夢中夢、なんで今ジョージ・ハリソン?と思ったけど、ユキヒロさんから来てるのかな。昔は引用はひねくれでゲームみたいなところあったけど、今はもうそういうのはいらない。素直で率直な敬意と継承で良い。



6月30日 会社終わって外へ出たらものすごく蒸し暑くて、顔から汗がドーっと出てきてから体のあちこちが痒くなり、頭も痛くなってきて、ヘトヘト。



7月1日 吉村弘「風景の音 音の風景」良い空間だった。洗練されつつも優しい。サティに魅入られた原点を保ったまま、コマーシャリズム皆無で、まさに空気のような音楽を作り続け、空気に染まっていない。図形楽譜などデザインの美しさも素敵だった。北鎌倉駅から歩いて展示見て歩いて北鎌倉駅へ戻る。鎌倉久しぶりだけど恐ろしくて中心地方面へは行かず。前回は2017年「建築家・大高正人と鎌倉別館」を見にここへ来て以来だった。
www.moma.pref.kanagawa.jp



7月2日 北参道駅方面から明治神宮に入り、人通りが比較的少ない参道を進んで緑を浴びようと思っていたのに、いつの間にか本殿へ行ってしまい、更に気がついたら原宿駅方面へ向かう参道にいた。外国人観光客ばかりだった。/ たっぷり浴びた光と人の成分をぬくために、ひっそりしたお茶屋さんへゆっくり過ごしてクールダウン。

夜ご飯には水茄子。夏だ。