Cornelius 夢中夢 Tour 2023

イベントでライブはしたものの、アルバムリリースツアーは復活をファンにお披露目する意味でもある。
東京は「9月末 土曜 恵比寿リキッド(立席)」と「10月末 火曜 羽田zepp(指定席)」。前者は疲れる/後者はアクセス&曜日に難あり、どうしようか悩んだ末、中盤の「横浜zepp 金曜(指定席)」に活路を見出しココ一択 且つ 特典カセット付じゃないやつにした結果、無事チケ当選、ライブ前日に発券したら人生初の良席でほんとうにびっくりした。ひえええぇぇぇ。


あと数回ライブを残しているため、ぼやかした記述をしつつ、後日追記する予定です。




贅沢にも近すぎて逆に見えなかったり、音悪いかと心配したけど杞憂だった。演奏する姿と映像をきちんと見据えながら、音もきれいにそして生々しくも聴こえ、周囲に対してストレスもなく、Corneliusの作り出す世界に埋没し、全身で吸収することが出来た。
極めて複雑な層を持つ音作りを、映像と照明を効果的に用いつつ完璧に構成するクールな佇まいだけど、ロックなダイナミズムがあり、それでいて口づさめるほどのポップソング。そこに「美しさ」がスッ、と入り込む。この絶妙なバランスは小山田くんの若い頃からのセンスが培ったものではないか。あの美しさはなんとも言い難く、胸の奥に響く、大切な瞬間だった。


観ながらふと、美術館を思い出した。大好きな作家の作品を観た時の感覚と等しいのかもしれない。マチスの、時代ごとに変わりながらも一貫した芯を持つカッコよさと愛らしさにああ好きだなあとしみじみ思うような。モンドリアンやブリジット・ライリーの、どうやって描いてるんだ?って思いながら美術館で観ると筆跡が感じられたり、ロスコの、対峙すると静寂が訪れるようなあの感覚。
Corneliusのライブで素晴らしいのはプロフェッショナルで、言い訳とか些末なこととか演者自身のことは一切感じさせずに「一夜の作品」として、美しさを提示しているところ。完璧さはあるけど孤高ではなく、常にまわりの人々と共にあり、愛らしさが備わっていて、これは小山田くんの人柄ゆえなんだろう。
(追記:11/12 「霧中霧」から発想して「最後霧の中に消えちゃうのどう?」って思いついて具現化してしまうのって、本当にすごい。Corneliusの仕事はいつもそんな、誰かのふとしたアイデアに「それいい!」と形にしちゃうところが素晴らしい)


夢中夢」ツアーとはいえ、前半は畳み掛けるほどにアグレッシブにこれまでを聞かせ、今を聞かせ、これからの意志表示がそこにあった。
ステージ上の演奏もしっかり見ることができたので、映像とガッツリ見合わせたけど手の動きと音と映像がマジで同期してた。いやあすっごいグループだなあ。荒木さんのドラムは千手観音か!な動きだし、堀江さんはいろんなパートを担当しつつムードメーカーだし、大野さんのキーボードはもちろんベースのクールっぷりに痺れたしコーラスもすっごく良くて(曲名伏せるけど、大野さんのコーラスで泣いた)(追記:11/12 曲名はアンコール最後の「続きを」で、大野さんの涼やかな声の「続きを〜」が美しくて胸の奥をクッと突かれて涙が出た)、小山田くんの落ち着いた演奏ぶりと唄声にホレボレしつつ、操作しながらちょっと口元が上がるとこを拝めたのもライブならではのものだなあ。



mikk.hatenadiary.jp

あの2年前の夏の日、小山田くんは海外で活動すればいいのにと思った。でも日本に居て、変わらずに活動を続けてくれた。そして今こんなにも美しく逞しい音を奏でていて、私たちはライブで聴くことができる。配信ではなく。


Corneliusとしてデビュー30周年、私もこんな歳になり、人生の節々にこれほど存在するなんてね。唄う小山田くんの姿を正面で目の当たりにしながら、flipper's guitar 1stを繰り返し聴いた89年夏の頃の私を思い出した。2023年10月13日金曜日。この日は個人的に大きな出来事があったけれどY氏と無事にCorneliusのライブを観る日が来て本当に嬉しい。いろんな意味で忘れられない日になった。