釧路湿原を行く


さて、釧路駅前からバスに乗って釧路湿原へ。釧路市の北側に広がる日本最大の湿原であり、天然記念物の丹頂鶴をはじめ貴重な動植物が数多く生息する「野生生物の楽園」。面積18,290haといってもピンときませんが、東西最大幅25km・南北36kmで「北から南までの距離は大宮駅から品川駅までの距離に匹敵」と聞くと、なんとなく「広い…な…」と感じるのではないでしょうか。
広大な敷地内に幾つも展望台や散策路がありますが、西側に位置する温根内ビジターセンターから木道を歩くことにしました。





とにっかく、なにもない。誰もいない。ただただ、大地が広がっているだけ。果てしなく果てしなく。色が無い世界。時折聞こえる鳥の声。風の音。とても日本とは思えない、何処か異国にぽーんとやってきたみたいでした。曇天の空も相まって、この荒涼とした様にふと「ポストロックなレコード」によくあるジャケットを思い浮かべました。

ほら、こんなのあったよね?なんて。
真夏だとまた雰囲気が違うだろうけど、長い冬を越したばかりの枯れた光景は、私の胸の奥をキリキリと細く細く刺したのでした。
ぐるりとまわったところでこんな看板が。

釧路湿原探勝歩道(旧鶴居軌道跡)」とな。解説によると「昭和4年に完成した鶴居軌道は馬車から木炭ガス動力の気動車を経て、戦後はディーゼル機関車が走り、生活物資や農産品の運搬に人々の移動手段として活躍していたが、道路整備が進んだことで昭和43年に全面廃止」したそう。なんと、こんなところで廃線跡

見れば一本にまっすぐ進む道、いざ行かん!枯れた草の道を進む進む。

脇に広がるこの草がなんだか生き物みたいで、可笑しかった。ジブリ映画に出てきそう。
そんななかで、あっ!あれは!

丹頂鶴!!こんな間近で出会えるなんて。

ずううっと歩いていたら小山があって

「ヒグマに注意!」なんて看板にビビりつつ登り切ると

う、わー。眼下に広がる湿原!明度も彩度も低く、湿原と言えども乾いた大地は私がああだこうだと形容しようとする言葉など吹き飛ばす無言の強さと穏やかさがありました。

最後に湿原内を走るJR釧網本線の列車から眺めた湿原の映像を。

鬱蒼とした樹木のあいだにたっぷりと水をたたえる河川や湖沼がある光景にダウン・バイ・ローを思い出したのでした。