夏の終わりの高知旅

今年は10月に入っても日差しが強烈で、真夏日を観測するほどだ。国内観測史上最高気温となる41.0度を記録したばかりの8月の終わり、当の地である高知へ旅をした。この旅の計画を決めたのちにそんな話題になってしまい、困惑しつつ。旅記録をアップするのが相当遅くなったけれど、まだ暑さの残る日々であるのでなんとか浮かび上がってくれればと、勝手ながら思いつつ。


8:30羽田空港発、10:00高知龍馬空港着。坂本龍馬もまさか自分の名前がこんなふうに使われるとは思ってもいなかっただろう。空港内からすでに「龍馬推し」がすごいことになっている。

各ポスターには必ず龍馬が。。。


良く晴れて気持ちがよい。そんなに酷い暑さではないかな(とこのときは安堵していたのだった)。空港から市街地までのバスの道なりの樹々から南国感が。30分強で中心繁華街のはりま橋へ。近い!ここからすぐにアーケード商店街となる。大きめで服飾飲食、個人商店も多くて賑わっている。木造のアーケードを始め、新しめの雰囲気なのは大河ドラマ効果だろうか。アーケード商店街というとマイナスな印象があるけれど、高知に至ってはこのおかげで日差しが遮られて安心して歩き買い物が出来る気がする。。。


路地に入るとしっとりといい佇まい。小さな魚市場などこの街の生活の風景があった。猫もうろうろ。それと城下町だからか和菓子屋さんが多い。土産や贈答に使われるような立派な店が並ぶのはさすがに県庁所在地だからだろうか。アーケードを抜けると官庁街になり、高知城に着いた。

大手門周辺は修復中。石垣の石の積み方がやけにざっくりとしていて、石のひとつひとつもでこぼこが激しい。

高知城周辺は建物が立派な名門校があったり、歴史を感じさせる。お屋敷も見られるけれど跡地にマンションが建築中だったりもする。
それから周遊バスに乗り繁華街を抜け、バイパス道路から川を渡り、五台山へ入っていく。かなり急で狭い山道を普通の路線バスが走るのが、スリリングで楽しい。

●牧野植物園にて


牧野植物園で下車。ずっと行きたかった場所。門から続くエントランスの樹々が織りなす緑に、ようやくここを訪れることができた嬉しさがこぼれる。落ち着いた雰囲気で丁寧に手が行き届いていて、歩いていてきもちよい。建物はシンプルでとても美しい造形。木目とコンクリートをうまく組み合わせ、一時流行ったテイストではあるけれどモダン。弧を描いたつくりになっていて、中庭がある。テラス部分には木のしっかりとした梁が鉄骨によって支えられている。向こうに空が見えて、静かで、すっきりとしていて、ぼーっと出来る空間。
館内では博士の生涯を紹介し、直筆の植物画や愛用の品などが展示されている。植物画の精密さといったら!細い細い描線の原画はほんとうに美しい。そしてやはり構成力がスバラシイ。見知っていた仕事はどのように生まれていったかといえば、のめり込むあまり貧困な生活を送りながらも植物への情熱を持ち続けて図鑑や雑誌を刊行、それを見た全国の植物研究家の要望によって各地を巡り、彼らと交流を重ねつつ日本津々浦々の植生を研究し、遂には文化勲章を受賞する。集めた蔵書、研究旅行先から家族へ送った葉書、採取した植物を郵送した包み、全国の愛好家へ逢いにいって植物の素晴らしさを語り交流を深めていったエピソードなどにぐっとくる。今は簡単に繋がることができるけれど、昔なんて当然大変で、それなりの覚悟と愛情が無ければ無理だっただろう。相当の変人で「植物バカ」なのであろうけれど人を寄せ付けないなんてことはなく、品性があって、他人を魅了する人の良さがあったんじゃないかなあ。写真で見た笑顔の数々が素敵だった。


夜ごはんにいただいたのは当然鰹のたたき!変な生臭さは皆無で旨味濃厚、ほんとうに美味しかった!!!店のオジイチャンが飄々としつつもビシッと粋でカッコヨカッタな。高知県男性の県民性として「いごっそう」という土佐弁があるようだけど、まさにその一部分を垣間みた。