Little Women

楽しみにしていた映画「Little Women」*1、とても素晴らしかった。グレタ・ガーウィグはオソロシイ監督だ。僅か2作目でコスチュームプレイを制作するなんて!
原作の「若草物語」は幼い頃テレビアニメで見ただけ*2で、これまでにも何度か映画化されている。ロケーションや音楽や衣装ですっと19世紀のアメリカへ誘いながら、語り口はまさにグレタ・ガーウィグで、冒頭の疾走シーン、幾度も入るダンスシーン、早口のトーク、ニヤニヤしちゃう台詞、特に最後の編集長との掛け合い!ああ!ああ!今を生きる彼女による「わたしたちの映画」だった!
実のところ前作「レディバード」にはグッとこなかった。彼女が描く世界を辿るには私は歳を取ったと痛感した。そう受け取らざるを得なかった表現が今作では普遍的に昇華され、時も場所も超えてひとりの人間として、卑屈にならず正々堂々と自分を表明し、自分が捉えた世界を掲げる意志があった。
配役もすんばらしくて、シアーシャ・ローナンは勿論のこと、男性2人がピッタリでそうですこれですと平伏してしまう。登場人物がみんなとても魅力的で、いいところも悪いところもちゃあんと感じられるのも良いなあ。そして彼らが暮らす街の、四季折々の情景の美しさに目を奪われるのです。印象派の絵画を思い起こすショットの連続(海のシーン!)は堂々としていて、幾度も凄い!と震えました。
時間軸を交互に行ったり来たりするのも効果的で、全体をきっちりと描きつつ、役者の仕草や小道具など細部にわたる箇所まで丁寧に取りこぼすことなく描かれていて、見事すぎる。。。
衣装も素敵で、昔のオリーヴや装苑の映画コーナーを思い出しました。
f:id:mikk:20200614170336p:plain:w500

*1:ちなみに邦題「ストーリー・オブ・マイライフ〜わたしの若草物語」にズコー

*2:インタビューでルイ・ガレルが“原作は読んだことないけど、日本のアニメで見た”と語っていて、ビックリした